なんぼなんでも 山陰で活動するJAZZ&BOSSA NOVAバンドのサイトにようこそ 本文へジャンプ


   戻る
  
 
8月のレコメンCD
Infinite love/Gil Goldstein&Romero Lubambo

 ギル・ゴールドステインの名は、パット・マルティーノ(g)とのデュオ・アルバムで御存知の方も多いのではないか。ビル・エヴァンス直系のシリアスなスタイルが印象的なピアノだが、近年は音楽プロデューサーとして多くのジャズ〜ブラジル系アルバムに関わっている。このアルバムの名義はゴールドステインとブラジルのギター奏者・ホメロ・ルボンバ。そこにもう一人、タイトル曲の作曲者でもあるトニーニョ・オルタ(g)参加しているのだから強力だ。全曲を通してアコースティック・ムード溢れる演奏が素晴らしい。中でも出色は冒頭の「My foolish heart」。おそらくトニーニョであろうアレンジが、この曲のツボにはまっている。ジャズ・スタンダードとして有名なこの曲を、ボサノバで、こんなアレンジで演奏するなんて驚きだ。ジャケットを思わせる夢心地な感じは、まさに想定外だ。途中で聴かれるホメロ・ルボンバのアコースティック・ギターのソロは、相変わらず超人的。よくもまぁ之だけ細かい音符をリズムにはめ込めるものだと感心する。あまり知られていないアルバムだが、何かの雑誌で矢野顕子のヘヴィー・ローテーションになっていると知って、何となく嬉しかった。基本的にトニーニョのオリジナルが多いぶん、トニーニョ色を強く感じる。ギル・ゴールドステインが曲によってアコーディオンを使うなど、センスのいいサウンドに仕上がっている。を1993年録音。
チェシャ猫の微笑/Gal Costa

 押しも押されぬMPB界の女王となったガル・コスタ。この人の歌にはやはり華がある。それでいて常にチャーミングなのだからたまらない。ミュージシャンとしての資質に恵まれた人なのだと痛感する。
 このアルバムでは「同胞」とも言えるカエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、ジャヴァン、ジョルジ・ベン・ジョールのオリジナルを歌う。中でもカエターノのオリジナル「風変わりな女」は強烈だ。あまりにも美しい曲。カエターノ恐るべし!意外な転調でメジャー7thに展開するくだりは官能の極み。悪魔的な綺麗さに思わず鳥肌が立つ。それをアコースティック・ギター一本の伴奏で切々と歌い上げるガルのたたずまいに、もはや言葉すら出ない。間違いなくこれ一曲で買いだ。
 プロデューサーはアート・リンゼイ。自己のリーダーは個人的にはイマイチだが、プロデューサーとしての才能は評価する。「風変わりな女」のここいちばんで一瞬、ガルの声にエコーをかけるなど、演出が憎い。思えばこんな曲に出会う期待を抱いてブラジルものを買い漁っていたような気がする。